top of page

代理・代表・​代位・代行

ホーム  >  用語集  > ​​代理・代表・​代位・代行

代理

  1. AがBのためにCとの間で意思表示をし、又は意思表示を受けることによって、その法律効果がBに直接に帰属する制度のことで、Aを代理人、Bを本人、Cを第三者(相手方)という(民九九等)。代理人は、代表と異なり、本人に対立する地位に立つ一方、使者と異なり、自己の意思で代理行為をする。

  2. 訴訟法上の代理については、民事訴訟上の当事者が他の者に訴訟代理権を授与して訴訟追行を委任すること。通常は弁護士に対して委任する。訴訟代理権を証する書面すなわち訴訟委任状を作成、交付して行われる(民訴五四以下)。

  3. 公法上の代理の例には、国又は地方公共団体の内部の一機関の職務を他の機関が代行する意味のものもある。

[有斐閣 法律用語辞典 第4版]

 

代表

一般に、法人の機関がある行為をしたとき、法律上、その行為がそのまま法人がした行為とみられる場合に、その機関は法人を代表するという。機関が法人と独立した地位を有しない点で「代理」と異なると説かれる。例、「取締役は、株式会社を代表する」(会社三四九①)、「普通地方公共団体の長は、当該普通地方公共団体を…代表する」(自治一四七)。また、ある者のした行為が、法人の機関がした行為とされるという意味でも、この語が用いられる。例、「各議院の議長は、…議院を代表する」(国会一九)。代理政治的、経済的に意見や利益を代表するという意。例、「全国民を代表する選挙された議員」(憲四三)、「使用者を代表する者…、労働者を代表する者」(労組一九)。

[有斐閣 法律用語辞典 第4版]

代位

ある人の法律上の地位に他の人が代わってつくこと。例、損害賠償者の代位(民四二二)、債権者代位(四二三)、弁済者の代位(四九九・五〇〇)。
[有斐閣 法律用語辞典 第4版]

代行

ある職を占める者に事故があるとき、又はその者が欠けたときに、他の者が代わってその職務を行うこと。単に「職務を行う」ともいう。

[有斐閣 法律用語辞典 第4版]

ー代理の分類ー

①代理権発生根拠による分類

法定代理

民法上、本人の意思に基づかずに、代理権が直接法律の規定によって与えられること。任意代理に対する概念。
[有斐閣 法律用語辞典 第4版]

 

任意代理(委任代理)

本人の任意の意思に基づいて代理権が生ずる場合をいい、法律の規定に基づいて当然に代理権が生ずる法定代理に対する。任意代理権は、一般に本人と代理人との間の委任契約によって生ずることから委任代理と呼ばれることもあるが、任意代理権そのものは、委任契約以外の、例えば雇用契約などによっても生ずると解されている。
[有斐閣 法律用語辞典 第4版]

②意思表示の送り手か受け手かによる分類

能働代理

代理人が本人のために意思表示を行う代理。積極代理ともいう。本人のために意思表示を受ける代理である受働代理に対する言葉。

[有斐閣 法律用語辞典 第4版]

受働代理

第三者からの意思表示を本人に代わって受けることについての代理(民九九②)。受方代理ともいう。能働代理に対する語。
[有斐閣 法律用語辞典 第4版]

③代理行為の法律効果が直接本人に帰属するか否かによる分類

直接代理

本人と一定の関係にある他人(代理人)が本人のために意思表示をし、又は意思表示を受けることによって、その法律効果が本人に帰属することを認める制度。一般的な代理である。代理の要件として、①意思表示の効果の帰属者を明らかにすること、②代理人に代理権のあること、が必要である。この結果、代理人の意思表示ないしは法律行為の効果は本人に帰属することになる。
[有斐閣 法律用語辞典 第4版]

 

間接代理

他人の計算において自己の名でされる行為。問屋(といや)、仲買人等の行為がその例。間接代理人の行為の経済的効果が本人(委託者)に帰属する点では代理(直接代理)と同じであるが、法律効果は全て行為者(間接代理人)に帰属し、それから更に委託者に移転される点で、直接本人に帰属する代理(直接代理)と異なる。
[有斐閣 法律用語辞典 第4版]

④代理人が数人いる場合に、その代理権の行使の態様に制限があるか否かによる区別

個別代理

代理人が数人ある場合に、数人の各代理人がそれぞれ単独で本人を代理すること。共同代理に対する用語。一般に、特に共同代理の定めがない限り、個別代理によるものと解される。例えば、各支配人は各自単独で代理権を行使する(商二一、会社一一)。また、民事訴訟法上は、訴訟代理人について個別代理の原則に反する定めは無効とされる(五六)。
[有斐閣 法律用語辞典 第4版]

 

共同代理

代理人が数人いる場合に、その代理権の行使の態様に制限を加えて、数人の代理人が共同しなければ代理権を行使できないものとすること、又はそのような共同行使の制約を加えられた代理。なお、民事訴訟法上は、訴訟代理人について個別代理が原則とされ、共同代理の定めは無効とされる(五六)。
[有斐閣 法律用語辞典 第4版]

 

ー無権代理ー

​無権代理

代理権を有しない者が代理人として法律行為を行うこと。代理権が存在しないので、本来その行為は本人及び無権代理人に対して法律効果を生じないが、民法では、取引の安全の観点から、本人と無権代理人の間に一定の関係がある場合には代理の効果を認め(表見代理)、それ以外の場合(狭義の無権代理)にも、本人の追認があれば代理の効果を認め、追認が得られないときには、無権代理人に対し、相手方の選択によって、自ら履行するか損害賠償をする義務を負わせている(民一一七等)。
[有斐閣 法律用語辞典 第4版]

​表見代理

無権代理行為のうち、無権代理人に代理権があるかのごとき外観が存する場合は、無権代理人を本当の代理人と誤信して取引をした相手方を保護するため、その無権代理行為を代理権のある行為として取り扱い、本人に対して効力を生じさせる制度(民一〇九・一一〇・一一二)。①代理権を与えたと表示しながら実は代理権を授与していない場合、②代理権の範囲を超えて代理行為をした場合及び③代理権の消滅後代理行為をした場合がある。
[有斐閣 法律用語辞典 第4版]

ー代理人・使者ー

​代理人

代理をすることができる法律上の地位又は資格を有する人。代理人は自ら意思を決定して表示するが、その行為の効果は本人に帰属する。行為能力者であることを要しない(民一〇二)。法定代理人任意代理人がある。
[有斐閣 法律用語辞典 第4版]

​使者

​他人が決定した意思表示を伝達する者、又は他人が決定した意思を相手方に表示する者。手紙を届ける者、口上を伝える者等をいう。「代理人」が自ら独立の意思表示をするのに対し、使者は本人の機関にすぎない。
[有斐閣 法律用語辞典 第4版]

代人

ある人に代わって事を行う人。社会生活上の意味における代理人。法令上は、民法施行前では代理人を指す語であったが、現在は、刑事訴訟法上の上訴権者の代人(三六二)の例のように、厳密な意味の代理人とは異なる内容の語として用いられることが多い。

代理者

代理をする者又は代理権を有する者。
[有斐閣 法律用語辞典 第4版]

代表者

法人又は個人を代表してその意思を外部に表示する者。例、「日本国民は、正当に選挙された国会における代表者を通じて行動し」(憲前文)。
[有斐閣 法律用語辞典 第4版]

総代

一般には、ある集団を代表する者のこと。特に、公共組合、協同組合、相互会社などにおいて総会に代わる機関として認められることのある総代会を構成する者のこと(農協四八、保険四二等)。
[有斐閣 法律用語辞典 第4版]

bottom of page