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​判断・心証・吟味

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判断

  1. 一般に、物事の真偽、善悪などを考え定めること(警職二①等)。

  2. 法令上は、①訴訟事件の審理において、事案の明確でない事項につき、裁判所がこれを確定する場合に用いられる(民訴一一四②・三三八①、刑訴四〇五等)ほか、②当事者間の民事上の紛争を解決するため仲裁契約に基づいて仲裁人が行う仲裁判断などがある。
    [有斐閣 法律用語辞典 第4版]

自由な判断

刑事訴訟法318条にいう「自由な判断」とは,論理や経験則に基づいた合理的な心証形成のことをいいます(刑事訴訟法318条,『有斐閣アルマ 刑事訴訟法(第5版)』(有斐閣,2017年))。最判昭和23年11月16日刑集第2巻12号1549頁は,「元来証拠の取捨選択並に事実の認定は、原審の専権に属することであつてその間に経験則に反することのない限り、上告審に於て、これを違法として破毀することはできない。」と判示し,採証から犯罪事実の認定に至るまでの過程に於て経験則に反することがある場合には,違法となることを確認しました。

心証

訴訟において、事実認定に関する裁判官の内心的判断のこと。心証形成の仕方、すなわち証拠の証明力の評価については、原則として裁判官の合理的な判断作用に委ねられている(自由心証主義)。もっとも、刑事訴訟において有罪の判決をするためには、合理的な疑いをいれない程度にまで至ることが要求される。
[有斐閣 法律用語辞典 第4版]

吟味(証拠の)

吟味とは,証拠について,他の客観的事実と符合するかどうか、合理的であるかどうか等について十分に検討し、その真実性について判断することをいいます(犯罪捜査規範173条2項)。

ー公権的な判断ー​

裁判

通常は、司法機関である裁判所又は裁判官が具体的事件についてする公権的な判断。訴訟事件の本案に関する判断はもとより、訴訟に付随しこれから派生する事項についての判断も含まれる。判決、決定及び命令の三種類がある。なお、両議院がその議員の資格に関する争訟について判断する場合及び弾劾裁判所が判断する場合にも、裁判という語が用いられる。

[有斐閣 法律用語辞典 第4版]

決定

広くは、国や公共団体の機関が疑義のある事項等について一定の判断を与えること。

  1. 訴訟法上は、裁判所が民事、刑事の手続において口頭弁論を経ることを要せずになし得る裁判をいい(民訴八七①但、刑訴四三②)、これを経てする判決や裁判官がする命令と対比される。

  2. 行政不服審査法上は、異議申立てに対して審査庁がする判断行為をいう(四七)。

[有斐閣 法律用語辞典 第4版]

審判

  1. 一般的には、国の行政機関が準司法的手続によって法令を適用する作用。例えば、公正取引委員会の審決手続、特許に関する審決手続がそれ。準司法的手続によって行われるために実質的証拠法則が認められることがある。

  2. 家庭裁判所が家事事件等についてする手続。

  3. 訴訟における審理及び裁判を合わせて審判と呼ぶことがある。

[有斐閣 法律用語辞典 第4版]

ー証明責任と主張責任ー

証明責任(挙証責任・立証責任)

訴訟において一定の事実の存否が確定されない場合に、その存否が確定されないことにより当事者の一方に帰せられる不利益。民事訴訟法上は、原則として、権利関係の発生、変更、消滅等の法律効果を主張する者が挙証責任を負うと考えられており、刑事訴訟法上は、一般に検察官が挙証責任を負う。

[有斐閣 法律用語辞典 第4版]

主張責任

民事訴訟においては、原則として、訴訟当事者は、権利又は法律関係の存否の判断に必要な事実を主張しなければならず、その主張をしないときは、裁判の基礎とされないため、不利な裁判を受けることになるが、このような主張をしなければならない当事者の責任、また、主張をしないために受ける当事者の不利益・負担のこと。
[有斐閣 法律用語辞典 第4版]

通説は,主張責任の所在と証明責任の所在は,原則として一致する,と考えている。通説の立場にたつと,2つの概念を区別する実益は大きくはなく,主張・証明責任と一括して表現されることもある。

通説の立場は、わかりやすいが、その反面,以下のような副作用が生じる。

「証明責任の所在と主張責任の所在を一致させることは,訴訟になにがしかの人為性・不自然性を持ち込むこととなる。たとえば,貸金返還訴訟で金銭の授受と返還約束は権利者(原告)が主張・証明責任を負い,弁済は義務者(被告)が主張・証明責任を負う。その結果,訴状等で,権利者は金銭の授受があり返還約束があったと主張すればよい。弁済はまだないと主張する必要はない。しかし,日常生活ではまだ返してもらってないから返してくれと,弁済につき権利者が言及するであろう。訴訟では,返してもらっていないと権利者が言う必要がないのとされるのであるから,人為的であり,多少不自然である。」(高橋宏志『民事訴訟法概論』(有斐閣,2016年)218頁)

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