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​人・者・自然人・法人

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法律上、権利義務の帰属主体として認められた存在。

近代法では、全ての個人は、権利義務の主体として認められる。また、個人以外の、法によって権利義務の主体として認められた存在のことを法人という。法人に対し、個人を自然人と呼ぶ。

法令用語上、自然人法人を指して、「」と書き表わす。

権利能力

私法上、権利義務の帰属主体となることができる資格。人格ともいう。

権利義務の帰属主体として認められた存在である自然人及び法人は、権利能力を有する。

自然人の権利能力の取得

自然人は、出生と同時権利能力を取得する。民法は、これを「私権の享有は、出生に始まる」と表現する(民法3条1項)。但し、外国人に対しては、法令又は条約の規定により私権の享有が制限される場合がある(同上2項)。

​胎児の権利能

まだ出生していない子である胎児に​は権利能力が認められない。しかし、損害賠償請求権、相続、遺贈に関する権利能力については、既に生まれたものとみなされ、限定的な権利能力が認められている(民法721条、886条1項、965条)。

自然人の権利能力の消滅

権利能力死亡によって消滅し、死亡した自然人に帰属していた権利義務は、相続される(民法882条)。尚、死亡と同じ法律上の効果が生ずる制度として、失踪宣告(民法31条)及び認定死亡(戸籍法89条)がある

法人の権利能力の取得

法人は、法律が自然人以外に権利義務の主体として認めるために作り出した者であるから、その成立によって法律が認める範囲内で当然に権利能力を取得する(民法33条、34条)。

法人でない社団(法人格を有しない社団・権利能力のない社団)の権利能力

法人格を有しない社団すなわち権利能力のない団体であっても、団体としての組織をそなえ、そこには多数決の原則が行なわれ、構成員の変更にもかかわらず団体そのものが存続し、しかしてその組織によつて代表の方法、総会の運営、財産の管理その他団体としての主要な点が確定している場合には、このような権利能力のない社団の資産は構成員に総有的に帰属し、権利能力のない社団は「権利能力のない」社団でありながら、その代表者によってその社団の名において構成員全体のため権利を取得し、義務を負担する昭和39年10月15日最高裁第一小法廷判決参照​)

​【参照条文】

 

権利能力の取得

(​権利能力)

​民法第3条① 私権の享有は、出生に始まる。

② 外国人は、法令又は条約の規定により禁止される場合を除き、私権を享有する。

(損害賠償請求権に関する胎児の権利能力)

​民法第721条 胎児は、損害賠償の請求権については、既に生まれたものとみなす。

(相続に関する胎児の権利能力)

​民法第886条① 胎児は、相続については、既に生まれたものとみなす。

② 前項の規定は、胎児が死体で生まれたときは、適用しない。

(相続人に関する規定の準用)

​民法第965条 第886条及び第891条の規定は、受遺者について準用する。

権利能力の消滅

(相続開始の原因)

​民法第882条 相続は、死亡によって開始する。

(失踪の宣告)

​民法第30条① 不在者の生死が七年間明らかでないときは、家庭裁判所は、利害関係人の請求により、失踪の宣告をすることができる。

② 戦地に臨んだ者、沈没した船舶の中に在った者その他死亡の原因となるべき危難に遭遇した者の生死が、それぞれ、戦争が止やんだ後、船舶が沈没した後又はその他の危難が去った後一年間明らかでないときも、前項と同様とする。

(失踪の宣告の効力)

​民法第31条 前条第1項の規定により失踪の宣告を受けた者は同項の期間が満了した時に、同条第2項の規定により失踪の宣告を受けた者はその危難が去った時に、死亡したものとみなす

【事変による死亡の報告】

戸籍法第89条 水難、火災その他の事変によつて死亡した者がある場合には、その取調をした官庁又は公署は、死亡地の市町村長に死亡の報告をしなければならない。但し、外国又は法務省令で定める地域で死亡があつたときは、死亡者の本籍地の市町村長に死亡の報告をしなければならない。

(法人の成立等)

民法第33条① 法人は、この法律その他の法律の規定によらなければ、成立しない。

② 学術、技芸、慈善、祭祀し、宗教その他の公益を目的とする法人、営利事業を営むことを目的とする法人その他の法人の設立、組織、運営及び管理については、この法律その他の法律の定めるところによる。

法人の権利能力の取得

 

(法人の能力)

民法第34条 法人は、法令の規定に従い、定款その他の基本約款で定められた目的の範囲内において、権利を有し、義務を負う。

(法人でない社団等の当事者能力)

民事訴訟法第29条 法人でない社団又は財団で代表者又は管理人の定めがあるものは、その名において訴え、又は訴えられることができる。

​【参考文献】

法令用語研究会編『法律用語辞典』(有斐閣,第4版,2012年)「人」、「者」、「自然人」、「法人」、「権利能力」、「人格」、「出生」、「死亡」、「胎児」

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