弁護士任官・非常勤裁判官・弁護士資格認定・判検交流
弁護士任官
弁護士任官とは,弁護士が裁判官に任官することをいいます(「弁護士任官の推進(弁護士任官等推進センター)」)なお,広くは検察官に任官することも含みます(日本弁護士連合会「弁護士任官支援事務所Q&A」参照)。
弁護士任官制度の経緯
判事(裁判官)は、判事補、検察官、弁護士などの法律職に通算して10年以上在職した者から判事を任命すると規定されていますが(裁判所法42条1項)、現実には,判事補以外の法曹からの判事任命数は極めて限られていました(日本弁護士連合会「弁護士任官Q&A(常 勤)」(日本弁護士連合会,2017年)参照)。
そこで、司法制度改革審議会は、「判事となる者一人ひとりが,それぞれ法律家として多様で豊かな知識,経験を備えること」が重要であるとし,「判事の給源の多様化,多元化」のための方策として,「弁護士任官の推進」等を提言しました(司法制度改革審議会「司法制度改革審議会意見書ー21世紀の日本を支える司法制度ー」(首相官邸、平成13年6月12日 報告,2001年)参照)。
上記意見書を受けて,日本弁護士連合会と最高裁判所は「弁護士任官等に関する協議の取りまとめ」(同年12月)を行い,新しい「弁護士任官」の制度がスタートしました(日本弁護士連合会「弁護士任官Q&A(常 勤)」(日本弁護士連合会,2017年)参照)。
非常勤裁判官制度
非常勤裁判官制度とは,民事調停事件及び家事調停事件の分野に,弁護士が非常勤の形態
で調停主任又は家事審判官たる裁判官と同等の立場で調停手続を主宰する制度をいいます。(最高裁判所 日本弁護士連合会「いわゆる非常勤裁判官制度の創設について (弁護士任官等に関する協議会の協議の取りまとめ)」(首相官邸,司法制度改革推進本部 法曹制度検討会 第8回配布資料,2002年)参照)。
その弁護士を通称「非常勤裁判官」といいますが,正式には,民事調停官(民事調停法23条の2),家事調停官(家事事件手続法250条)のことをさします。(日本弁護士連合会「弁護士任官Q&A(非常勤) 」(日本弁護士連合会,2017年))。
弁護士資格認定制度
弁護士資格認定制度とは,弁護士となる資格(弁護士資格)は,原則として,司法試験に合格し,司法修習を終了した者に付与されますが(弁護士法4条),その特例として,法務大臣の認定を受けた者に弁護士資格が付与される制度です(同法5条)。
判検交流
判検交流とは,裁判官が検察官に転官した上、法務省に出向し、法令の立案や訟務事務に従事することをいいます(司法制度改革審議会「司法制度改革審議会意見書ー21世紀の日本を支える司法制度ー」(首相官邸、平成13年6月12日 報告,2001年)参照)。