​事実・事由

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事実

本来の字義は、実際にあった事柄の意。法令上は、一定の法律効果を生ずる原因となる事物の関係。また、民事訴訟、刑事訴訟において、法律適用の前提ないし対象となる事件の内容たる実体関係をいう。しばしば、証拠によって顕出、構築され、実体的真実から抽象された訴訟上の観念を事実と称することがある。[有斐閣 法律用語辞典 第4版]

​事由

理由又は原因となる事実。人の行為であるか、物理的な事実であるかを問わない。用例としては、法人の解散事由(一般法人一四八)、経済事情の変化その他の事由(独禁七〇の一二②)等がある。
[有斐閣 法律用語辞典 第4版]

コラムー事実の分類ー​

法律事実

法律要件を構成する要素となる事実。例えば、契約は、申込みという意思表示と承諾という意思表示の合致によって成立するが、この二つの意思表示が法律事実である。遺言のように、一個の法律事実がそのまま法律要件となる場合もある。法律事実には、人の精神作用を要件としない単なる事件もある。
[有斐閣 法律用語辞典 第4版]

主要事実

訴訟理論上、適用される法規の構成要件に該当する事実。民事では要件事実直接事実ともいい、弁論主義が厳格に適用される。また、刑事では犯罪事実とも呼ばれ、その認定は訴因に拘束される。
[有斐閣 法律用語辞典 第4版]

 

要件事実

民事訴訟上の概念で、権利の発生・変更・消滅という法律効果を定めた法規がその効果発生のために必要としている要件に直接該当する事実。主要事実又は直接事実ともいう。

間接事実

主要事実の存否を立証するために認定される事実。徴憑(ちょうひょう)ともいう。これを証明する証拠が間接証拠である。
[有斐閣 法律用語辞典 第4版]
 

​補助事実

民事、刑事の訴訟において、証拠の証拠能力や証明力に関する事実。証人の記憶力、認識力や性格、文書が作成された目的などがこれに当たる。
[有斐閣 法律用語辞典 第4版]

要証事実

  1. 民事訴訟法上は、証拠による証明を必要とする事実。当事者間に争いのない事実、裁判上顕著な事実及び法律上推定を受ける事実については、例外として証明を不要とするが、それ以外の当事者の主張する事実については、証明を必要とする。

  2. 刑事訴訟法上は、厳格な証明を要する事実。

[有斐閣 法律用語辞典 第4版]

犯罪事実

犯したとされる犯罪の構成要件に該当する具体的事実。司法警察員、検察官は、被疑者を逮捕したとき又は逮捕された被疑者を受け取ったときは、犯罪事実の要旨を告げなければならない(刑訴二〇三・二〇四)。
[有斐閣 法律用語辞典 第4版]
 

​公訴事実

起訴状に記載される犯罪事実(刑訴二五六)。公訴提起の対象となる具体的事実を意味する。旧刑事訴訟法(大一一法七五)では審判の対象であるとされていたが、現行法では「訴因」という制度があるため(刑訴二五六)、審判の対象、公訴提起の効力の及ぶ範囲等に関して、この両者の関係をどう解するのかが、学説上争われている。
[有斐閣 法律用語辞典 第4版]

訴因

起訴状に記載される公訴事実に明示すべき犯罪事実の要点。犯罪の日時、場所、方法をできるかぎり特定して事実を明示するものでなければならない(刑訴二五六③)。裁判所にとって直接の審判の対象であり、これを超えて事実を認定し法律を適用することは許されない。検察官は、公訴事実の同一性を害しない限度で、裁判所の許可を得て訴因の追加、撤回又は変更をすることができる(三一二)。
[有斐閣 法律用語辞典 第4版]
 

​罪となるべき事実

有罪判決において示さなければならないところの裁判所が認定した犯罪事実(刑訴三三五①)。
[有斐閣 法律用語辞典 第4版]
 

情状

刑事手続において、被疑事実又は公訴事実そのものの存否を決する事情ではなく、その存在を前提として、刑事訴追を行うかどうかの判断や刑の量定に当たって参酌される事情。被疑者、被告人にとって有利なものも不利なものも含めてこの語が用いられる。

[有斐閣 法律用語辞典 第4版]

余罪

余罪とは,「公訴事実として起訴されていない犯罪事実」をいいます(最大判昭和41年7月13日刑集第20巻6号609頁)。

前科

前科とは、特定の者が有罪の裁判を受けこれが確定した事実をいいます(犯歴事務規程13条参照)。

コラムー秘密の分類ー​

秘密

一般に知られていない事実であって、かつ、知られていないことにつき利益があると客観的に認められるものをいう。秘密を守るべき義務は守秘義務と呼ばれるが、一定の者に対して守秘義務を課し、罰則をもって担保している立法例は多数にのぼる。
[有斐閣 法律用語辞典 第4版]

営業秘密

営業秘密とは、秘密として管理されている生産方法、販売方法その他の事業活動に有用な技術上又は営業上の情報であって、公然と知られていないものをいいます(不正競争防止法2条6項)。

業務上の秘密

刑法上、医師、薬剤師、医薬品販売業者、助産師、弁護士、弁護人、公証人若しくはこれらの職にあった者又は宗教、祈禱(きとう)若しくは祭祀(さいし)の職にあり若しくはあった者が漏らすことを禁じられている他人の秘密のこと(一三四)。なお、類似の制度が、国家公務員法(一〇〇①・一〇九)、地方公務員法(三四①・六〇)等により「職務上の秘密」として個別に制度化されている。
[有斐閣 法律用語辞典 第4版]


職業の秘密

職業の秘密とは,その事項が公開されると,当該職業に深刻な影響を与え以後その遂行が困難になるものをいいます(民事訴訟法197条1項3号・最判平成18年10月3日民集第60巻8号2647頁)。また,証言拒絶権との関係について,「ある秘密が上記の意味での職業の秘密に当たる場合においても,そのことから直ちに証言拒絶が認められるものではなく,そのうち保護に値する秘密についてのみ証言拒絶が認められると解すべきである。そして,保護に値する秘密であるかどうかは,秘密の公表によって生ずる不利益と証言の拒絶によって犠牲になる真実発見及び裁判の公正との比較衡量により決せられるというべきである。」と判示しました。

報道関係者の取材源

「報道関係者の取材源は,一般に,それがみだりに開示されると,報道関係者と取 材源となる者との間の信頼関係が損なわれ,将来にわたる自由で円滑な取材活動が 妨げられることとなり,報道機関の業務に深刻な影響を与え以後その遂行が困難になると解されるので,取材源の秘密は職業の秘密に当たるというべきである。そして,当該取材源の秘密が保護に値する秘密であるかどうかは,当該報道の内容,性質,その持つ社会的な意義・価値,当該取材の態様,将来における同種の取材活動が妨げられることによって生ずる不利益の内容,程度等と,当該民事事件の内容,性質,その持つ社会的な意義・価値,当該民事事件において当該証言を必要とする程度,代替証拠の有無等の諸事情を比較衡量して決すべきことになる。」

通信の秘密

特定人がその意思を他の特定人へ伝達する手段としての通信の秘密が侵されないこと。憲法二一条二項は「通信の秘密」を保障しているが、これは、手紙、電話、電報等の通信の秘密が公権力によって侵害されないことを意味する。この保障を具体化するものとして、刑法の信書開封罪(一三三)や郵便法の規定(七・八)等があり、この保障を制限するものとして、刑事訴訟法(八一・一〇〇)等の規定がある。
[有斐閣 法律用語辞典 第4版]

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