金銭・貨幣・支払手段
金銭
財や給付の交換、取引を媒介する一般的価値尺度となるものとして国家から一定の価格を与えられたもの。強制通用力をもつ貨幣(法貨)だけでなく、取引上貨幣として通用する自由貨幣も含めて用いることが多い。通常、物としての個性のないものであり、即時取得の規定の適用はなく、奪われた金銭に対しては、債権的返還請求権しか成立しないと解されている(通説)。
[有斐閣 法律用語辞典 第4版]
貨幣
広義においては、強制通用力を認められた支払手段をいう。この意味では、「通貨の単位及び貨幣の発行等に関する法律」に規定する貨幣のほか、日本銀行券を含む。
狭義では、同法に規定する貨幣をいい、その製造及び発行の権限は政府に属する(四①)。
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支払手段
支払手段とは、次に掲げるものをいいます(外国為替及び外国貿易法6条1項6号)。
イ 銀行券、政府紙幣、小額紙幣及び硬貨
ロ 小切手(旅行小切手を含む。)、為替手形、郵便為替及び信用状
ハ 証票、電子機器その他の物に電磁的方法により入力されている財産的価値であつて、不特定又は多数の者相互間での支払のために使用することができるもの(その使用の状況が通貨のそれと近似しているものとして政令で定めるものに限る。)
ニ イ又はロに掲げるものに準ずるものとして政令で定めるもの
ー通貨・法貨・現金ー
通貨
強制通用力の認められた支払手段。鋳造貨幣、紙幣及び銀行券の種類があるが(刑一四八)、現在発行されている通貨は、このうち貨幣(通貨四・七)及び銀行券(日銀四六)である。日本円を単位とする通貨を本邦通貨、これ以外の通貨を外国通貨という場合がある(外為法六①)。
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法貨
無制限又は一定の範囲内において強制通用力を法律上与えられている通貨(貨幣及び日本銀行が発行する銀行券)。日本銀行が発行する銀行券は「法貨として無制限に通用する」とされ(日銀四六②)、貨幣は「額面価格の二十倍までを限り、法貨として通用する」(通貨七)とされる。なお、「通貨」も一般的に流通する銀行券、貨幣をいうが、法律的な強制通用力という側面に重点を置いて捉える場合に「法貨」と呼ばれる。
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現金
実質的には、通貨と同様のものを指し、外国通貨である現金と本邦通貨である現金とに分けられる。具体的には、一般に通用力のある支払手段である鋳造貨幣、紙幣及び銀行券を含むが、小切手、郵便為替等は、通常は含まれない。法令用語としては、財政法二条に例がある。
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仮想通貨
仮想通貨とは、次に掲げるものをいいます(資金決済に関する法律2条5項)。
一 物品を購入し、若しくは借り受け、又は役務の提供を受ける場合に、これらの代価の弁済のために不特定の者に対して使用することができ、かつ、不特定の者を相手方として購入及び売却を行うことができる財産的価値(電子機器その他の物に電子的方法により記録されているものに限り、本邦通貨及び外国通貨並びに通貨建資産を除く。次号において同じ。)であって、電子情報処理組織を用いて移転することができるもの
二 不特定の者を相手方として前号に掲げるものと相互に交換を行うことができる財産的価値であって、電子情報処理組織を用いて移転することができるもの
前払式支払手段
証票、電子機器等に記載され又は電磁的方法により記録される金額に応ずる対価を得て発行される証票等又は番号、記号その他の符号であって、発行者等から物品を購入し、若しくは借り受け、又は役務の提供を受ける場合に、これらの代価の弁済のために提示、交付、通知その他の方法により使用することができるもの、又は、証票等に記載され、又は電磁的方法により記録される物品又は役務の数量に応ずる対価を得て発行される証票等又は番号、記号その他の符号であって、発行者等に対して提示、交付、通知その他の方法により、当該物品の給付又は役務の提供を請求することができるもの。ただし、乗車券、入場券等は含まれない。商品券、プリペイド・カード等の証票によるもののほか、サーバによるものも含まれる。「資金決済に関する法律」(平二一法五九)は、消費者保護の観点から、前払式支払手段の発行者に登録又は届出の義務を課すとともに、前払式支払手段の発行残高の二分の一の金額の発行保証金の供託義務を課し、前払式支払手段の所有者に発行保証金についての優先弁済権を定める。
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杉浦 宣彦・片岡 義広「電子マネーの将来とその法的基盤」より抜粋
ー物の交換価値を貨幣で表示したものー
価格
物の値段のこと。物の交換価値を貨幣で表示したもの。一般的・抽象的に物の金銭的価値を表すときに用いられる場合が多い。例、「物資の価格及び需給」(生活安定一)、「農産物の価格」(食農基三〇)など。
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価額
価格に相当する金額。具体的に特定した物や財産の金銭的価値を表すときに用いられる場合が多い。例、「遺留分は、被相続人が相続開始の時において有した財産の価額にその贈与した財産の価額を加えた額から債務の全額を控除して、これを算定する」(民一〇二九①)。
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ー原価・定価・時価ー
原価
製品等の給付のためにその給付の一定単位に対応して費消された経済価値をいう。「費用」と一致することが多いが、概念としては、費用は一定期間の収益に対応するものとされている。なお、法人税法では、損金算入すべき金額として「当該事業年度の収益に係る売上原価、完成工事原価その他これらに準ずる原価の額」と規定されており(二二③)、給付が収益として実現した期において原価として損金算入される旨が示されている。
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定価
物品等について、あらかじめ決められた販売価格(例、たばこ事三三)
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時価
その時点において一般にその物が取引されている実際の価格と考えられる価格。
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