行使・権利の行使・私力の行使・公権力の行使

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行使

  1. 一般には、日常用語と同じく「使用する」という意味で用いられる(憲九等)。

  2. 権利の行使という場合には、権利の内容を実現するという意味で用いられる(民一②・七一七③、会社一二四、国公一〇二①等)。

  3. 偽造通貨や偽造文書を行使するという場合には、偽造、変造等に係る通貨等真正でないものを、真正なものとして用いること(刑二編一六章~一九章)。

[有斐閣 法律用語辞典 第4版]

権利の行使

権利の内容を実現する行為。原則として適法行為と推定され、これを確認する規定もある(労基七、独禁二一等)。しかし、財産上の権利の行使であっても財産に対する罪が成立する場合もあり、また、外形的には権利の行使とみられる行為であっても権利濫用として法律上の効果を否定される場合もある。
[有斐閣 法律用語辞典 第4版]

​​濫用

形式的、外形的には権利権限等の行使とみられるが、実質的には、社会的に制約されたある限界を超え、又はその本来の使命を逸脱しているため、その正当な行使といえないこと。例、「この憲法が国民に保障する自由及び権利は…濫用してはならない」(憲一二)、「権利の濫用は、これを許さない」(民一③)。これらは、権利は、一応権利者の利益のために認められているのではあるが、権利者だけのためにある絶対的なものではなく、当然に社会的な制約を受けた相対的なものであるとの考え方を示す。
[有斐閣 法律用語辞典 第4版]

私力の行使

私力の行使とは,裁判所に訴えるなどの法的な手続によらず自身の実力を用いることをといいます(国民生活センター「建物賃貸借契約と自力救済条項」参照)。

 

判例によれば、「私力の行使は、原則として法の禁止するところであるが、法律に定める手続によつたのでは、権利に対する違法な侵害に対抗して現状を維持することが不可能又は著しく困難であると認められる緊急やむを得ない特別の事情が存する場合においてのみ、その必要の限度を超えない範囲内で、例外的に許されるものと解することを妨げない」(最高裁昭和38年(オ)第1236号昭和40年12月7日第三小法廷判決民集19巻9号2101頁)。

自力救済

自力救済とは,私力の行使により権利の実現を図ることをいいます(国民生活センター「建物賃貸借契約と自力救済条項」参照)。

自給行為

刑法上、法定の手続によらずに、権利の救済、被害の回復を図る行為。自力(じりき)救済ともいう。盗まれた品物を犯人から実力で奪い返す行為等がこれに当たる。一切違法であるとする説と、厳格な要件の下で合法と認める説とがある。
[有斐閣 法律用語辞典 第4版]

​暴行

不法な有形力の行使。刑法上、暴行が構成要件とされている罪における暴行の概念は、①人に向けられると物に向けられるとを問わず、全ての有形力の行使(騒乱罪等)、②人に向けられる有形力の行使(公務執行妨害罪等)、③人の身体に加えられる有形力の行使(暴行罪等)、④人の反抗を抑圧するに足りる有形力の行使(強盗罪等)の四種に大別される。
[有斐閣 法律用語辞典 第4版]

武力の行使

一般的には、国家がその軍事力を対外的に使用すること、すなわち、国家の物的、人的組織体による国際的な紛争の一環としての戦闘行為をいう。外国の反徒に対する武器援助や兵站(へいたん)上の援助等も武力の行使とされることがある(ニカラグア事件本案判決)。国際連合憲章は、自衛権の行使としての場合及び集団安全保障措置の場合を除き、加盟国がその国際関係においてこれ(武力による威嚇を含む)を禁止している。日本国憲法は、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄するとしている(九①)。

[有斐閣 法律用語辞典 第4版]

​コラムー公権力の行使ー

公権力

国家(又は公共団体)がその統治権に基づき、私人に対して優越的な意思を発動する権力。法令を定め、法的争いを裁断し、あるいは国民に命令し、強制することがその例であるが、国と私人とが対等の立場に立つ私法上の法律関係(物品の売買など)はこれに含まれない。実定法上、「公権力の行使」という用例がある(国賠一、行審一・二等)。

公権力の行使

公権力の行使とは,国又は公共団体の作用のうち純粋な私経済作用と国家賠償法二条によって救済される営造物の設置又は管理作用を除くすべての作用を意味します(国家賠償法1条1項,東京高判昭56・11・13判時一〇二八・四五(広義説))。

国の不作為

国の不作為とは,国の行政庁が、申請等が行われた場合において、相当の期間内に何らかの国の関与のうち許可その他の処分その他公権力の行使に当たるものをすべきにかかわらず、これをしないことをいいます(地方自治法250条の13第2項)。

[有斐閣 法律用語辞典 第4版]

​行政庁の処分

行政庁の処分とは、行政庁の法令に基づく行為の全てを意味するのではなく、公権力の主体たる国又は公共団体が行う行為のうちで、その行為により直接国民の権利義務を形成し又はその範囲を確定することが法律上認められているものをいいます(行政事件訴訟法3条,最判昭39・10・29民集一八・八・一八〇九)。この判例は,行政事件特例法下のものですが,行政事件訴訟法3条2項にいう「行政庁の処分その他公権力の行使に当たる行為」についても妥当すると解されています(司法制度改革推進本部 行政訴訟検討会取消訴訟の対象(第3条第2項関係)についての検討課題」(首相官邸,2003年)1頁)。

 「行政庁の処分」のほかに「その他公権力の行使に当たる行為」を取消訴訟の対象とした趣旨は,代執行,直接強制,即時強制といった,行政庁が一方的に私人の身体,財産等に実力を行使して,行政上望ましい状態を実現する事実行為をそれに含める趣旨であるとされています(宇賀「行政法概説II[第5版]」159頁,同上「検討課題」1頁参照)。

「行政庁の処分その他公権力の行使に当たる行為」を,単に処分ともいいます(行政手続法2条2号,行政不服審査法1条2項,行政事件訴訟法3条2項等)。

 

ある行為について,「行政庁の処分その他公権力の行使に当たる行為」に該当することを,処分性があるといい,当該行為は取消訴訟の対象となります(行政事件訴訟法3条2項,行政管理研究センター「行政不服審査及び行政手続判例等に関する調査研究報告書」(総務省,2013年)。

​コラムー権利を行使せず棄てることー

​放棄

投げ棄(す)てて顧みないこと。法令において、主に権利、利益について、当事者がこれを否定し、又はこれを行使せずに投げ棄てる行為の意味に用いられ、権利、利益の消滅原因となる。例、「入漁権者は、何時でもその権利を放棄することができる」(漁業四六)、「期限の利益は、放棄することができる」(民一三六②)。
[有斐閣 法律用語辞典 第4版]

棄権

選挙権、議決権等の行使を放棄すること。投票を行わないことによく用いられる。
[有斐閣 法律用語辞典 第4版]

​移棄

所有者がその物の所有権を他人に移転させることを内容とする相手方に対する一方的意思表示。相手方が定まる点で放棄とは異なる。例、「承役地ノ所有者ハ…地役権ニ必要ナル土地ノ部分ノ所有権ヲ地役権者ニ委棄シテ…負担ヲ免ルルコトヲ得」(平一六改正前の民二八七)。
[有斐閣 法律用語辞典 第4版]