給付・履行・弁済

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給付

一般的には、債権の目的となる債務者の行為をいう。例えば、売主が買主に対し目的物を引き渡すこと。また、社会保険の関係で、被保険者に与えられる利益を保険給付という。給付の内容は、金銭その他の物の交付である場合もあれば、健康保険法における療養の給付のように、役務の提供である場合もある。給付は、その性質に応じ、作為給付(積極的に一定の行為をすること)と不作為給付(一定の行為をしないこと)、可分給付と不可分給付などに分類される。
[有斐閣 法律用語辞典 第4版]

​履行

一般用語では、広く一定の義務を実行すること。法令では、一般用語の意味で使われることもあるが(例、税通一)、通常は、債務者等が債務の内容を実現すること。債務の本旨に従ってなされることを要する(民四一五)。履行する主体は、債務者本人の場合と第三者の場合とがある。「弁済」と同義であるが、弁済は債権の消滅の面から捉えていうのに対し、履行は債権の効力の面からみたもの。
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弁済​

債務者その他の者が債務の本旨に従って給付をし、債権を消滅させる行為。債権の本来的な消滅要因である。「履行」とほぼ同義であるが、履行が債権の効力、すなわち、債務者のなすべき行為、債権者の請求し得る行為という面からみた語であるのに対し、弁済はそれによる債権の消滅という面からみた語である(民四七四等)。

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コラムー給付の分類ー

反対給付

双務契約における一方の給付に対して対価の意味を有する他方の給付のこと。例えば、売買においては、売主にとって買主の代金の支払が反対給付(売買の目的物の引渡しが給付)となり、買主にとって売主からの売買の目的物の引渡しが反対給付(代金の支払が給付)となる。

①分割の可否による分類

​可分給付

性質上分割することのできる給付。例えば、金銭の給付、米一〇〇キログラムの引渡し。不可分給付(例えば、自動車一台の給付)に対する。給付の可分・不可分の区別は、給付について複数の債権者又は債務者がある場合に主として問題となる。
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不可分給付

給付の性質上又は契約上分割することができない給付。牛一頭の給付が性質上不可分の例。可分給付に対する。
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②特定の有無による分類

特定給付

債権者が債務者に対し請求することができる行為で、内容が特定されているもの。特定物の引渡しがその例。不特定給付に対する語。
[有斐閣 法律用語辞典 第4版]
 

不特定給付

不特定物の給付や選択的給付などのように、内容が具体的に特定されていない給付。特定給付に対する概念。
[有斐閣 法律用語辞典 第4版]

コラムー履行をしないことー​

債務不履行

債務者が債務の本旨に従った履行をしないこと。履行遅滞、履行不能、不完全履行の三類型に分かれる。その主な効果は、履行が可能な場合にその強制履行を求め、損害賠償を請求し、契約の解除をすることができることである。
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​不完全履行

債務の履行として給付がされたが、その給付が債務の本旨に反して不完全であること。履行遅滞、履行不能と並んで債務不履行の一種として認められる。債権者は不完全な給付の受領を拒否できるし、また、完全履行が可能な場合は履行遅滞に準じて、完全履行が不能な場合は履行不能に準じて、それぞれ契約の解除や賠償の請求ができる。
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​履行遅滞

債務の履行が可能であるのに履行期に履行しないこと(民四一二)。債務者遅滞ともいう。債務不履行の一態様で、例えば同時履行の抗弁権のような正当な事由がないときは、遅滞の責任を生じる。
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​履行不能

債務の成立時には可能であった給付がその後に不能になることで、債務不履行の一態様。債務者の責めに帰すことのできない事由で履行不能になったときは、履行遅滞が生じた後に不能となった場合を除き、債務者は債務を免れる(民五四三)。
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コラムー強制的に債券の内容を実現することー​

強制履行

債務者が任意に履行しない場合に、国家機関によって強制的に債権の内容を実現すること。強制履行は、具体的には強制執行の方法によるが、その方法としては、直接強制、間接強制、代替執行、意思表示の擬制の四種があり、民法(四一四)及び民事執行法(四三~一七四)にこれに関する規定が置かれている。
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​強制執行の方法

直接強制

  1. 民事執行法上の強制執行の一つで、執行機関の実力により債務の内容を直接に実現する方法。執行方法として最も効果的であり、債務者の協力を必要としないため、金銭債権の執行、動産や不動産の引渡債権の執行に用いられる(民執四三~一六九)。

  2. 行政上の強制執行の一つで、義務の不履行に対し、直接義務者の身体又は財産に実力を加えて、義務が履行されたのと同一の状態を実現すること。人権侵害のおそれが強いため、一般的な行政上の強制執行の方法としては認められておらず、個々の法律で特に認められた場合でなければ行うことができない(例、学校施設の確保に関する政令二一)。

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間接強制

債務者が任意に債務を履行しない場合に、裁判所が履行遅延の期間に応じて一定の賠償をすべきことを命じ、債務者を心理的に強制することによって間接的に債務の実現を図る強制的手段。強制履行の方法の一種。「為(な)す債務」のうち他人が代わってすることのできない性質の不代替的給付を目的とするもの(例えば、競業行為の避止や財産目録作成の債務等)についてのみ認められる(民執一七二等)。
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​代替執行

代替的作為債務や不作為債務の内容の実現のための強制執行の方法(民四一四、民執一七一)。これらの債務について債務名義を有する債権者の執行申立てに基づき、執行裁判所が、債務者を審尋した上、授権決定をすると、債権者は、これに基づき、執行官等の第三者をして、又は自ら、問題の作為等を実行できる。その作為等の費用についても強制執行をなし得る。
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意思表示義務の執行(意思表示の擬制)
債務者が意思表示をすべき義務を怠るときに、それを実現すること。債務者の意思表示を命じる裁判をもってその意思表示に代え(民四一四②但)、民事執行法上は、意思表示を命ずる判決の確定などをもって、債務者自らの意思表示があったものとみなしている(一七四)。
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コラムー弁済(履行)の提供ー​

弁済の提供

債務者が弁済をするため債権者の受領を求めること。履行の提供ともいう。現実に弁済の提供を行うことを要するが、債権者が受領を拒むときなどは、弁済の準備をしたことを通知し、受領を催告することで足りる。弁済の提供を行えば、債務不履行から生ずる一切の責任を免れ、同時履行の抗弁権も消滅する(民四九二・四九三)。
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​弁済の提供方法

​現実の提供

債務の弁済の提供方法のうち、民法が原則的なものとして規定している方法(四九三本文)。債務者が、債務の本旨に従い、債権者が受領しさえすれば弁済となるような程度にまで現実に給付行為を行って、債権者にその受領を求めること。
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​口頭の提供

債務の弁済の提供方法の一つ。債務者が、弁済の準備を行ったことを債権者に通知し、その受領を催告することによって、弁済の提供を行うこと。弁済の提供は、現実の提供が原則であるが、債権者があらかじめ受領を拒み、又は債務の履行について債権者の行為を必要とする場合に、例外的に認められる(民四九三)。「言語上の提供」ともいう。
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​口頭の提供で足りる場合

​履行拒絶

債務者が債権者に対し、履行する意思のないことを通知すること。買主が代金の支払を拒絶する場合のように双務契約において当事者がこれを行うときは、売買目的物の受領等の反対給付の受領の拒絶の意思をも含むとみることができるから、他の当事者は、口頭の提供だけで、相手方の同時履行の抗弁権を排斥することができる(民四九三・五三三)。
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コラムー給付・弁済を受けることー​

受領

  1. 他人から金銭、物品等の給付を受け取ること(物統三①・九ノ二等、収用九五、鉱業九八等)。この点で、他人の行為を有効なものとして受領する受理と異なる。

  2. 民法上、債務の弁済を受けること(四七九・四八〇・四八六等)。

  3. 手続として書類、書面等を受け取ること(民訴一六一③、不動産共事二六①)。

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受領遅滞

債務者が弁済の提供をしたにもかかわらず、債権者が、その受領を拒み、又はその受領をすることができないこと(民四一三)。債権者遅滞ともいう。その成立の要件及び効果については、判例及び多数説が、債権者の受領拒絶又は受領不能がその責めに帰する事由によるか否かを問わず受領遅滞が成立するとし、弁済の提供と同様の効果を認めるにとどまるのに対し、少数説は、債権者にその責めに帰せられる事由がある場合にのみ受領遅滞が一種の債務不履行として成立するとし、その効果として債権者に損害賠償責任が生じ、債務者は契約を解除することができるとする。
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