​リーガル・マインド

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リーガル・マインド

​リーガル・マインドとは、一般に、「法律の実際適用に必要とされる、柔軟、的確な判断」をいいます(池上秋彦ほか編「デジタル大辞泉」)。しかし、公式に確立した定義はないようです(内閣総理大臣 菅直人「衆議院議員浅野貴博君提出リーガルマインドに係る外務省の認識に関する質問に対する答弁書」(衆議院,平成23年8月5日受領 答弁第三五四号,2011年)参照)。

リーガルマインドに関係すると思われる表現として,以下のものがあります。

法令上、法曹には「多様かつ広範な国民の要請にこたえることができる高度の専門的な法律知識、幅広い教養、国際的な素養、豊かな人間性及び職業倫理」が求められているとされています(法科大学院の教育と司法試験等との連携等に関する法律2条)が掲げられています。リーガルマインドとは、これらの総称であると言っても過言ではないでしょう。

金井高志「民法でみる法律学習法」は、リーガル・マインドを狭義、広義、最広義に分けて、以下のとおり定義しています。

  • 狭義のリーガルマインドとは、「根拠(条文・判例=法規範)を明らかにして、事実に適用し、一定の結論を論理的に提示することにより利害関係者を説得する(説得するためには、その結論が社会的に妥当なものでなければならない)ことができる能力(論理構築説得能力・論理的説得能力)」をいう。

  • 広義のリーガルマインドとは、「狭義のリーガルマインドに加えて、……法的な判断を行う際の心構えや精神的な姿勢の側面心構え……を含めたリーガルマインド」をいう。

  • 最広義のリーガルマインドとは、広義のリーガルマインドに加えて、「立法論展開能力を含めるリーガルマインド」をいう。

結論として、リーガルマインドの明確な定義はないようです。またリーガルマインドをあまりに広く解すると、内容がなくなってしまいます。明確な定義もなくリーガルマインドを使うと、下記日弁連のように、結論ありきで、単にもっともらしい理由付けのために「リーガルマインド」を使っているような印象を受けてします。

日弁連は,社会保険労務士の簡裁訴訟代理権等を付与することについて,以下のように反対しています。

「社会保険労務士が代理人として訴訟に業として関与することは,訴訟手続を混乱させるおそれがあるとともに,依頼者や関係者の権利・利益を害する恐れがある。(中略)基本的な法律科目の習得を通じたリーガルマインドの涵養が基礎として必要である(中略)」,「基本法律科目やリーガルマインドなど社会保険労務士に欠けているものを「研修」によって代替させることはできない」(日本弁護士連合会「新司法試験,隣接法律専門職の業務範囲拡大及び国民の利便性向上について(意見)」2006年11月)。

これでは、既得権益を守るためだけではないかと批判されてもしょうがないでしょう。

なお、訴訟代理人の気概を示すものとして,釈明権不行使の違法が問題と判例における藤林益三最高裁判事の説示があります。

「訴訟代理人は、裁判所によりかかるべきものではない。けだし、訴訟代理人の受任事件に対する熱意と研究努力とが裁判の結果に現われてこそ、在野法曹の訴訟活動の進歩に伴う裁判本来の姿の出現が期待できるからである」(最判昭和51年6月17日民集第30巻6号592頁・藤林益三最高裁判事の反対意見)。

その他、研究者及び法学徒が判例に対する心構えを戒めたものとして,「研究者は,判例は一枚岩ではないと見て新しい胎動を読み取りたがる傾向があり戒心しなければならないが,逆に,学生諸君は,判例に整合的だと信じたがる傾向がある。しかし,それは危険であり,判例は揺らぎがあり得るのを率直に認めるべきであろう」(高橋志『民事訴訟法概論』209頁)。

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