召喚・召集・招集
呼出し
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出頭させること。訴状を受理した裁判官が被告を呼び出すこと。例、「訴訟の開始に必要な呼出し又は命令の送達」(油賠一二①)。
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通信のために呼び掛けること。例、「無線局の呼出し」(電波六一)。
[有斐閣 法律用語辞典 第4版]
召喚
被告人、証人、鑑定人等に対し、一定の日時に裁判所又はその指定する一定の場所に出頭すべきことを命ずる裁判所の意思表示。主として刑事訴訟法上の用語で(五七等)、民事訴訟法では「呼出し」の語が使われる。
[有斐閣 法律用語辞典 第4版]
勾引
裁判所が被告人、証人等を一定の場所に引致する強制処分。勾引状を発して行う。召喚に応じないこと等の一定の事由がある場合に限られる。刑事手続以外でも、民事訴訟法、人身保護法に証人等の勾引が規定されている(刑訴五八・五九等、民訴一九四、人保一〇)。
[有斐閣 法律用語辞典 第4版]
引致
権限のある機関によって、身体の自由を拘束した者を一定の場所又は一定の者のところへ強制的に連行すること(勾引状・勾留状執行としての引致について刑訴73、検察事務官又は司法巡査が逮捕状により被疑者を逮捕した場合及び司法巡査が私人から現行犯人を受け取った場合の引致について刑訴212、215)。私人による現行犯逮捕の場合は、引致ではなく、引き渡しである(刑訴214)。
送致
被疑者又は少年、書類又は証拠物、事件等を検察官、家庭裁判所、少年院等に送り届けること。捜査、少年の保護処分、児童の福祉の措置等に関する手続として、刑事訴訟法、少年法、児童福祉法等で規定されている。「移送」が同種類の機関相互間で送り届けることを指すのに対し、送致は異種類の機関相互間で送り届けることを意味する。なお、投票箱・投票録等の送致等というときは、「送付」と同じ意味。
[有斐閣 法律用語辞典 第4版]
召集
国会の会期を開始させる行為で、国会議員に対し、一定の期日に、各議院に集会することを命ずるもの。天皇が、内閣の助言と承認により、詔書によって行う。常会の召集詔書は、少なくとも一〇日前に公布しなければならないが、臨時会、特別会については特に期日の定めがない(憲七、国会一等)。
[有斐閣 法律用語辞典 第4版]
招集
会議体を成立させるためにその構成員に対して、期日、場所等を示して集合を求める行為。地方公共団体の議会、協同組合や一般社団法人の総会、株式会社の株主総会等について、法令上用いられている(自治一〇一、生協三四、一般法人三六、会社二九六等)。国会については、特に「召集」という言葉が用いられている。
[有斐閣 法律用語辞典 第4版]
集合
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一般に、一つに集まり合うこと又は集め合うこと。この語だけでは必ずしも法律上の観念とはなっていないが、集合物、集合財産、集合犯、集合的干渉のように他の語と結合することによって法律上の概念を構成する。
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刑法上は、凶器準備集合罪について用いられ(二〇八の三)、二人以上の者が共同加害の目的で時及び場所を同じくして集まることをいう。
[有斐閣 法律用語辞典 第4版]
解散
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人の集団が分散して、ばらばらになること。
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衆議院又は地方公共団体の議会において、その議員の全員についてその任期満了前に議員たる資格を失わせる行為。
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法人その他の団体が、その目的である本来の活動をやめ、財産関係の整理をし、清算をする状態に入ること。
[有斐閣 法律用語辞典 第4版]
【参照条文】
勾引・引致
【勾引状・勾留状執行の手続】
刑事訴訟法第73条① 勾引状を執行するには、これを被告人に示した上、できる限り速やかに且つ直接、指定された裁判所その他の場所に引致しなければならない。第六十六条第四項の勾引状については、これを発した裁判官に引致しなければならない。
② 勾留状を執行するには、これを被告人に示した上、できる限り速やかに、かつ、直接、指定された刑事施設に引致しなければならない。
【検察官・司法警察員への引致】
刑事訴訟法第202条 検察事務官又は司法巡査が逮捕状により被疑者を逮捕したときは、直ちに、検察事務官はこれを検察官に、司法巡査はこれを司法警察員に引致しなければならない。
【現行犯人を受け取った司法巡査の手続】
刑事訴訟法第215条① 司法巡査は、現行犯人を受け取つたときは、速やかにこれを司法警察員に引致しなければならない。
【私人による現行犯逮捕と被逮捕者の引き渡し】
刑事訴訟法第214条 検察官、検察事務官及び司法警察職員以外の者は、現行犯人を逮捕したときは、直ちにこれを地方検察庁若しくは区検察庁の検察官又は司法警察職員に引き渡さなければならない。
【参考文献】
法令用語研究会編『法律用語辞典』(有斐閣,第4版,2012年)「召喚」「勾引」「引致」「拘禁」「拘置」
高橋和之他編『法律学小辞典』(有斐閣,第5版,2021年)
長沼範良他『刑事訴訟法』(有斐閣,第5版,2017年)