免除・免責・恩赦
免除
-
債務免除のことをいう。
-
公法上は、いったん成立した法令による作為、給付又は受忍の義務を、特定の者又は特定の場合について解除することを意味する。例えば、租税の免除、義務教育の免除などがこれに当たる。なお、実際には、関税定率法一四条のようにあらかじめ義務を解除している場合にも免除という言葉が使われている例もある。
[有斐閣 法律用語辞典 第4版]
債務免除
債務者に対する一方的な意思表示によって債権者が債権を無償で消滅させること(民五一九)。債権の放棄であり、単に免除ともいう。債権者の単独行為であるが、免除によって第三者の利益を不当に害することはできない。
[有斐閣 法律用語辞典 第4版]
刑の免除
有罪ではあるが刑を免除すること。判決で言い渡す(刑訴三三四)。刑の執行の免除と異なり、刑の宣告を受けたことにはならないから、後に罪を犯しても累犯とはならない。必要的免除事由と任意的免除事由とがあるが、「親族間の犯罪に関する特例」(刑二四四①)は前者の、放火予備(一一三)は後者の例である。
[有斐閣 法律用語辞典 第4版]
免責
-
民法、商法上は、債務者が個々の債務を免れ、又は債務を負わずにすむことをいう。
-
破産法上は、破産手続による配当によって弁済されなかった残余債務について、破産者が弁済の責任を免れるという制度。
-
刑事責任を免れる意に用いることもある。
[有斐閣 法律用語辞典 第4版]
減免
法律上の何らかの義務について、その全部を免除し、又はその一部を軽減すること。
[有斐閣 法律用語辞典 第4版]
免税
租税債務の全部を免除すること。従来課税されていた物件を税法改正等の立法措置によって非課税とすることを意味するほか、災害被害者に対する所得税の免除のように、一定の法令上の根拠がある場合に、納税義務を免除することを意味することもある。
[有斐閣 法律用語辞典 第4版]
免訴
公訴を提起された刑事事件について、①確定判決を経たとき、②犯罪後の法令によって刑が廃止されたとき、③大赦があったとき、④時効が完成したときに、裁判所が訴訟を打ち切ること。判決で言渡しをする(刑訴三三七)。
[有斐閣 法律用語辞典 第4版]
恩赦
公訴権を消滅させ、又は刑罰権の全部若しくは一部を消滅させる行政権の作用。内閣が決定し、天皇が認証する。大赦、特赦、減刑、刑の執行の免除、復権の五種類がある。政令で罪を定めて行う一般恩赦と、特定の者を対象とする個別恩赦とがあるが、後者は、中央更生保護審査会の申出があった者に対して行われる(憲七・七三、恩赦、更生八九)。
[有斐閣 法律用語辞典 第4版]
コラムー恩赦の種類
大赦
恩赦の一種。政令で罪の種類を定めてこれを行い、有罪の言渡しを受けた者については、その言渡しは効力を失い、まだ有罪の言渡しを受けない者については、公訴権が消滅する(恩赦二・三)。
[有斐閣 法律用語辞典 第4版]
特赦
恩赦の一種。有罪の言渡しを受けた特定の者に対して行われ、有罪の言渡しの効力を失わせる(恩赦四・五等)。
[有斐閣 法律用語辞典 第4版]
減刑
恩赦の一種で、確定判決による刑を減軽し、又は刑の執行を減軽するもの(憲七・七三、恩赦六・七)。政令によって罪又は刑の種類を定め、これに該当する者に一律に適用する政令減刑と、特定の者に対して行う特別減刑とがあり、刑の執行の減軽は後者の場合にのみ行われる。
[有斐閣 法律用語辞典 第4版]
刑の執行の免除
有罪判決で確定した刑についてその執行のみを免除すること。刑の免除の場合と異なり、刑に処せられたことになるから、累犯の成立等において前科として扱われる。恩赦の一種として認められるもの、刑の時効完成の効果として認められるもの、同一行為について外国で判決を受け外国で既に刑の一部又は全部の執行を受けたことによって認められるものなどがある(恩赦八、刑三一・五)。
[有斐閣 法律用語辞典 第4版]
復権
有罪の言渡しを受けたため法令の定めるところにより資格を喪失し、又は停止された者に対し、その資格を回復するもの(恩赦九・一〇)。恩赦の一種。また、刑法上も復権の制度がある(刑二七・三四の二)。
破産者が破産者でなくなること(破二五五・二五六)。
[有斐閣 法律用語辞典 第4版]