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家族

​一般には、血縁と婚姻を基礎として共同生活を営む集団。

明治民法においては、「戸主ノ親族ニシテ其家ニ在ル者及ヒ其配偶者」を家族と規定し、「家ニ在ル者」か否かは戸主の戸籍に入っているか否かによって決まったため、家族とは、戸主と同一の戸籍に在る者であった。

現行民法においては、婚姻と親子の規定が置かれているだけで、家族について定めた規定はない(①同一の戸籍に記載される配偶者と未婚の子、②互いに扶けあう義務があり、窃盗罪等の罪が免除される配偶者と直系血族と同居の親族(民法730条、752条、刑法244条1項)、③扶養義務がある配偶者と直系血族と兄弟姉妹(民法752条、877条)あたりが一般の家族のイメージに近いかもしれない)。

特別法においては、家族とは,配偶者(婚姻の届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にある者を含む。)、父母、子及び兄弟姉妹並びにこれらの者以外の配偶者の父母及び子と規定された例がある(特定秘密の保護に関する法律12条2項1号)。

 

​【参照条文】

明治民法第732条① 戸主ノ親族ニシテ其家ニ在ル者及ヒ其配偶者ハ之ヲ家族トス
② 戸主ノ変更アリタル場合ニ於テハ旧戸主及ヒ其家族ハ新戸主ノ家族トス

戸籍法6条本文 戸籍は、市町村の区域内に本籍を定める一の夫婦及びこれと氏を同じくする子ごとに、これを編製する。
戸籍法第16条 婚姻の届出があつたときは、夫婦について新戸籍を編製する。

(親族間の扶け合い)
民法第730条 直系血族及び同居の親族は、互いに扶け合わなければならない。

(同居、協力及び扶助の義務)
第752条 夫婦は同居し、互いに協力し扶助しなければならない。

(扶養義務者)
民法第877条① 直系血族及び兄弟姉妹は、互いに扶養をする義務がある。
② 家庭裁判所は、特別の事情があるときは、前項に規定する場合のほか、三親等内の親族間においても扶養の義務を負わせることができる。

(親族間の犯罪に関する特例)
刑法第244条① 配偶者、直系血族又は同居の親族との間で第235条の罪、第235条の2の罪又はこれらの罪の未遂罪を犯した者は、その刑を免除する。
② 前項に規定する親族以外の親族との間で犯した同項に規定する罪は、告訴がなければ公訴を提起することができない。
③ 前二項の規定は、親族でない共犯については、適用しない。

 

​【参考文献】

法令用語研究会編『法律用語辞典』(有斐閣,第4版,2012年)「家族」
​大村敦志『基本民法7 家族編』(有斐閣,初版,2014年)

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